【5】 世界屈指の透明度を誇る沖縄の海の環境問題

穏やかな暖流・黒潮の恩恵を受ける沖縄の海には、多種多様な海洋生物が生息しており、
多くのダイバーを魅了しています。
しかし、この世界屈指の透明度を持つ沖縄の海でも、さまざまな環境問題が発生しています。


現在発生している環境問題

・オニヒトデの大量発生

・何度も繰り返し起こる自然現象ではないか?
・陸地の開発によって土壌や栄養塩類の流入が引き起こしている人為的現象ではないか?
これらのことが原因として考えられていますが、
やはり陸地の開発が一番の原因ではないかという声が多いのも事実です。

このオニヒトデの大量発生は、サンゴ群集の生域を妨げる要因の一つとして挙げられます。

オニヒトデは、1年に数千万この卵を産み、生後約2年で放卵・放精を行うようになります。
それ以降は毎年放卵・放精を繰り返します。
寿命は6~8年なので、駆除活動が追い付かず、正常な状態に戻るには何年もかかるのではないかと言われています。

また、このオニヒトデを駆除するために、船・ボンベ・ダイバーが必要になるので、
1匹駆除するのに約100円かかっているのが現状です。

・ゴミ問題

こんなにキレイな沖縄の海でもごみ問題はあります。

漂着するゴミと釣り人によるゴミがあり、
その中で問題視されているのが、海底に引っ掛かった釣り糸がそのまま放置されていることです。

ダイバーが潜りゴミを撤去する活動も行われていますが、
プロのダイバーでも30メートルでの作業が限界なので、その先にあるクモの巣状になった釣り糸が今も放置されている状態なのです。

この放置されている釣り糸は約1.5tあると推測されています。

・赤土による海水汚染

マンションやゴルフ場など大規模な開発で山を掘削する際に出た赤土が海へ流れ出るといった問題がおきています。

1988年  大宜味村アガサ滝に赤土が流出し汚染。
2003年  河川改修工事で河口から金武湾を汚染。
2008年  八重山地方宮良川河口で赤土を被ったサンゴが確認される。

赤土を被ったサンゴは窒息状態になり死滅してしまいます。
国頭村宇嘉川、 国頭村辺野喜、 国頭村辺野喜、 名護市嘉陽、大宜味村、 名護市カヌチャ、石垣島宮良、 中城湾でも赤土によるサンゴの被害が確認されています。

開発以外で海を汚染する原因として、土地改良事業でつくられた農地が挙げられます。
この農地には水はけのことを考えて排水溝と傾斜角度がつけられているので、
畑の表土、肥料、農薬のすべてが川に流れ出てしまい、のちに海まで流れ出てしまうのです。

・サンゴの白化現象

サンゴ礁は、海洋生物の繁殖や生育にかかせない場所です。
地球上には約800種類のサンゴが生息し、沖縄の海域にはその4分の1に当たる約200種類のサンゴが生息しています。

サンゴの白化現象を引き起こす要因として下記のことが考えています。

・開発で山を掘削した際に流れ出た赤土
・田畑から流れる表土、肥料、農薬
・オニヒトデの大量発生
・温暖管にル水温上昇

こういった要因からサンゴを守るために、
様々な団体が協賛を募り、オニヒトデの駆除やごみ問題に取り組んでいますが、
予算などのさまざまな問題により、思うように進んでいないのが現状です。

サンゴを養殖して復元させる

サンゴを増やして海洋生物がすみやすい環境を作るために、
サンゴを養殖し、海底に移植するという取り組みが行われています。

移植が成功すると成長の早いもので、1カ月でおよそ1~2センチ成長し、1年後にはかなり大きく成長します。

サンゴは年1回産卵するので、養殖したサンゴから次々と新しいサンゴが生まれていくことが期待されています。

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